健康的な生活習慣を継続することの大切さと注意点
心不全の発症、進行、再発の予防のためには、適切な治療に加えて、運動、食事などの生活習慣の改善が必要です1)。
あなたがこれから運動を始めるのならば、息ぎれせず、会話をしながらでもできる程度の、ウォーキングや軽いエアロビクスなどの運動を1日5~10分程度から行うとよいでしょう2)。
運動が苦手な方や、これまでこれといった運動を行ってこなかった方は、日常生活のなかに運動を取り入れる「ながら運動」をおすすめします。あなたの日常生活のなかでできることをみつけ、ぜひ取り入れてみましょう。
歯を磨きながらの運動
洗濯物を干しながらの運動
座りながらの運動1
座りながらの運動2
洗い物をしながらの運動
テレビを見ながらの運動
階段を昇り降りしながらの運動
監修:聖マリアンナ医科大学 薬理学 准教授 木田 圭亮先生
「主食+主菜+副菜」が理想です。偏った食事にならないようにしましょう2)。
塩分を摂りすぎると、体の中に水分をため込みやすくなってしまいます。これが高血圧やむくみにつながり、結果的に心臓に負担をかけてしまいます2)。日本人の食塩摂取量は平均10.1g(男性11.0g、女性9.3g)で、年齢別でみると60歳代が最も塩分を摂っているという平成30年の国民生活基礎調査の報告があります4)。
心不全の患者さんが目標とする食塩摂取量は「1日6g未満」です2)。
最近は減塩レシピがさまざまなところで容易に入手できますし、塩味のきいた漬物よりも酢の物を選んだり、塩で味付けするよりも自然の味を生かして調理したりするなど、少し意識するだけでも日々の食事はきっと変わります。
心不全でない人でも、厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は男性が7.5g未満、女性が6.5g未満5)ですので、ご自分だけ別の食事を用意するのではなく、ご家族と一緒に減塩に取り組むとよいでしょう。
【参考】
一般社団法人 日本循環器学会/ 日本心不全学会:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版). p32
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_d.pdf(2022年10月20日閲覧)
一般社団法人 日本心不全学会:心不全手帳(第3版),2022.
http://www.asas.or.jp/jhfs/topics/files/shinhuzentecho/techo3_book1_katamen.pdf(2022年11月15日閲覧)
Piepoli MF, et al.: BMJ. 328(7433), 189, 2004
厚生労働省:平成30年国民健康・栄養調査報告(令和2年3月)
https://www.mhlw.go.jp/content/000681200.pdf(2022年10月20日閲覧)
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf(2020年5月12日閲覧)
POINT
食事、運動における注意点を理解し、
心臓によりよい生活を送りましょう。
食事や運動をはじめとする生活習慣の見直しが心不全の発症や進行の予防に重要であること、心不全患者さんが食事や運動をする際の注意点、バランスのよい食事や適度な運動を無理なく続けていただくことの大切さなどについて、ご説明しています。