心不全で大切な、薬による治療
心不全は進行予防のため、薬による治療が欠かせません。医師の指導に従ってきちんと飲み続けることが大切です。
心不全は、だんだんと悪くなり、命に関わる病気です。だからこそ、治療でその進行をおさえることが大切で、薬による治療は欠かせません。
心不全の薬にはさまざまな種類があり、作用する場所やはたらきがそれぞれ異なります。数種類の薬を併せて服用する場合もあります1)。
心不全の薬剤治療は「症状の緩和」と「予後の改善」の大きく2つに分けられます。
心臓を保護するお薬
心不全では、レニン・アンジオテンシン・アルドステロンといったホルモンが過剰に分泌され、心臓に負担がかかっています。
これらのホルモンを抑えることで、心臓を保護します。
心臓を保護するホルモンの働きを強めることで、心臓を保護するお薬もあります。
心臓を休ませるお薬
心不全では、交感神経という神経が緊張した状態になっていたり、心臓が十分な血液量を拍出できないことを補うために心拍数が高くなっています。
β遮断薬は交感神経の緊張を和らげ、HCNチャネル遮断薬は心臓の心拍数を減少させることで、無理をしすぎている心臓を休ませます。
心臓の負担やむくみを取るお薬
体にたまった余分な水分や塩分を尿として体の外に排出し、体のむくみをとって心臓を楽にします。
心臓を力づけるお薬
心臓の筋肉に作用して、弱った心臓の働き(血液を送り出すポンプ機能)を強め、心臓を力づけます。
このほかにも、血栓をできにくくする薬、心拍数をコントロールする薬(ジギタリス)、不整脈を予防する薬、合併症の治療薬などを使うことがあります。
薬で心不全が完全に治ることはありませんが、続けることで、入院を防いだり、症状を改善したりすることは可能です。
「効果を実感できないから」、「症状が良くなったから」といった理由で、勝手に服用をやめたり放置したりすると、心不全が悪化します。用法・用量を守って薬を飲み続けましょう。
副作用の症状に気づいたら、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
【参考】
一般社団法人 日本循環器学会/ 日本心不全学会:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_d.pdf(2022年10月20日閲覧)
一般社団法人 日本心不全学会:心不全手帳(第3版),2022.
http://www.asas.or.jp/jhfs/topics/files/shinhuzentecho/techo3_book1_katamen.pdf(2022年11月15日閲覧)
POINT
薬の効果をすぐに実感できなくても、
きちんと飲み続けることが大切です。
心不全の治療における薬物療法について、さまざまな薬の種類、それぞれがどのように作用するか、どこに作用するか、薬をきちんと飲み続けることの重要性をご説明しています。「効果を実感できないから」「症状が良くなったから」などの自己判断で服用をやめないようにしましょう。